60歳定年後、再雇用を選択するかを悩まれる方が多いと思いますが、現在では、約80%の方々が再雇用を選択なさっているようです。。
しかし、実態をよく理解して選択なさっている方は少ないと思います。そこで、今回は、少し古いですが、2014年に発表された統計データを用いて、再雇用の実態について検討したいと思います。
私の感触としては、企業規模の大きい会社ほど、待遇の面で再雇用者に厳しいと思いました。それでは、説明いたします。
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大企業ほど厳しい待遇の実態
下記の表が、企業規模別の60歳から64歳までの再雇用後の給与水準率の中央値です。気給与水準とは、定年到達前の年間給与を100とした場合としての比率を示しています。
このように、企業規模が大きくなるほど、給与水準が小さくなります。
規模 | 給与水準の中央値 (定年退職前の給与を100とする) |
49人以下 | 71~80% |
50人~99人 | 61~70% |
100人~299人 | 61~70% |
300人~499人 | 61~70% |
500人~999人 | 61~70% |
1000人以上 | 51~60% |
また、給与を50%以下にした企業数は、企業規模が大きくなるにしたがって、多くなり、1000人以上の企業では、37.1%もの企業が50%以下にしています。
規模 | 給与水準50%以下の企業の割合 |
49人以下 | 8.6% |
50人~99人 | 12.1% |
100人~299人 | 14.6% |
300人~499人 | 23.2% |
500人~999人 | 20.3% |
1000人以上 | 37.1% |
このように、企業規模が大きくなるにしたがって、賃金の減少幅が大きくなっていることがわかります。
また、別の出典ですが、60歳から64歳までの方々の年収を、下図に示します。このデータでも、企業規模が大きくなると年収が下がっていることがわかります。
規模 | 年収(千円) |
1~4人 | 2975 |
5~9人 | 3910 |
10人以上 | 3988 |
30人以上 | 3751 |
100人以上 | 3795 |
500人以上 | 4090 |
1000人以上 | 3806 |
5000人以上 | 3453 |
上記の年収データは、以下のサイトより引用しました。
【年齢別】中小企業・大企業の平均給与(年収・月収)と手取り額目安 | 転職活動・就職活動に役立つサイト「ジョブインフォ」 (jobinfo.me)
いかがでしょうか?
再雇用については、大企業ほど、厳しい待遇だということがわかります。しかし、大企業の方々は、それなりの退職金を貰われていると思いますので、当然の結果かもしれませんが?。。
それでは、別の観点から再雇用の実態を見てみたいと思います。
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統計からわかる再雇用の実態
雇用形態
雇用形態については、やはり、嘱託など正社員以外の雇用形態が多い様です。
しかし、雇用形態においても、会社規模が大きくなると、正社員以外の雇用になる割合が高くなっていることがわかります。1000人以上の企業ですと、83.3%の方が、正社員以外になっています。
規模 | 自社の正社員以外 |
49人以下 | 57.6% |
50人~99人 | 60.4% |
100人~299人 | 71.6% |
300人~499人 | 77.4% |
500人~999人 | 83.3% |
1000人以上 | 83.3% |
再雇用後の仕事内容
再雇用後の仕事については、企業規模に関わらず、約90%の方が「定年到達時点と同じ仕事内容」を実施しており、ほぼ全員が、同じ仕事内容であることがわかります。同じ仕事内容をして、給料は、かなり減少するということです。
再雇用者に対する評価
評価については、下図のように、企業規模が大きくなるに従って、定年前の評価方法と別の方法で評価を行う比率が高まっています。定年前は業績を重視した評価、再雇用後は人材育成といった面を重視した評価となっていくのでしょうか?
規模 | 定年前と評価が別方法 |
49人以下 | 17.8% |
50人~99人 | 19.0% |
100人~299人 | 24.4% |
300人~499人 | 35.2% |
500人~999人 | 35.1% |
1000人以上 | 43.3% |
まとめ
まとめてみると、以下のようになります。
・約90%の方が、定年前と同じ仕事をしている。
・賃金は、定年前の給与と比較して50%~70%の給与となり、企業規模が大きいほど減少する。
・雇用形態も、多くの方が嘱託等の正社員以外となり、企業規模が大きいほど、正社員以外の比率が高くなる。
・評価も、企業規模が大きいほど、定年前の評価と別の方法で評価を行う率が高くなる。
客観的に見て、大企業の方の再雇用は、待遇、特に給与の面で厳しいものになっていると思います。あくまでも、個人的な意見ですが、中小企業の方が、再雇用者をより戦力として評価していることが背景にあるように思います。
尚、これらのデータの出典は、独立行政法人労働政策研究・研修機構「高年齢社員や有期契約社員の法改正後の活用状況に関する調査」(平成26年)です。
https://www.jil.go.jp/press/documents/20131112.pdf
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