先週公開した50歳代の皆様!収入、貯蓄、借入金、老後への意識から見える実像 | 定年雑学クラブ (yamakichi-ya.com)を多くの方が、御覧になって頂き、本当にありがとうございました。
今回は、60歳代の収入、貯蓄、借入金、老後への意識が、50歳代からどのように変化したかを中心にデータを客観的に分析し、老後への何かしらの指標らしきものを出せればと思っております。
尚、今回も、金融広報中央委員会の「2019年家計に金融行動に関する世論調査(二人以上世帯調査)」のデータを利用しております。
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50歳代と60歳代のデータによる比較
収入
60歳代の収入の平均値533万円、中央値400万円になりました。中央値を見ると、200万減少しております。これは、33%程度の減少です。以前の記事50歳代の方必見!再雇用の実態 大企業ほど厳しい待遇になる? | 定年雑学クラブ (yamakichi-ya.com)でも30%から40%ほど年収は減少すると記載しておりますが、ほぼ同じ結果になりました。尚、回答世帯数は、50歳代で671世帯、60歳代で695世帯です。
年間手取り収入額 (税引後)(万円) | 50歳代(%) | 60歳代(%) |
収入はなし | 0.4 | 0.9 |
300未満 | 6.7 | 18 |
300~500 | 19.1 | 33.1 |
500~750 | 29.4 | 16.1 |
750~1000 | 14.2 | 8.2 |
1000~1200 | 8.4 | 4.2 |
1200~ | 8.8 | 4.6 |
無回答 | 13.1 | 15 |
次に、60歳代の収入源を見てみます。公的年金、就業による収入、企業年金・個人年金、金融資産の取り崩しの順になっています。就業による収入が多いのは65歳まで再雇用で就業する方が多いからだと思います。
金融資産の取り崩しについては、企業年金・個人年金も金融資産の取り崩しの一部と考えられますので、加算すると67.1%となり、かなり多くの方が金融資産に頼っていることがわかります。尚、3つまでの回答で、回答世帯数は、695世帯です。
収入源 | 60歳代(%) |
就業による収入 | 45.8 |
公的年金 | 86.8 |
企業年金、個人年金 | 37.1 |
金融資産の取り崩し | 30.2 |
利子配当所得 | 2.6 |
不動産収入 | 7.6 |
子供からの支援 | 4.3 |
公的援助 | 3.6 |
その他 | 3.0 |
無回答 | 0.3 |
貯蓄
貯蓄については、3つの調査結果を比較しております。
まず、金融資産保有額です。平均値1635万円、中央値650万円と、50歳代より保有金額が増えています。また、後程説明しますが、金融資産400万円以上の方は、全体の53.9%となっております。これらは、退職金が大きく影響していると考えられます。尚、回答世帯数は、50歳代で671世帯、60歳代で695世帯です。
資産保有額(万円) | 50歳代(%) | 60歳代(%) |
非保有 | 21.8 | 23.7 |
100未満 | 4.5 | 3.5 |
100~200 | 4.6 | 4 |
200~300 | 4.0 | 3.2 |
300~400 | 3.6 | 3.9 |
400~500 | 3.6 | 2.7 |
500~700 | 4.9 | 5.9 |
700~1000 | 7.6 | 5.2 |
1000~1500 | 10.7 | 9.8 |
1500~2000 | 8.3 | 5.8 |
2000~3000 | 7.6 | 9.1 |
3000~ | 8.9 | 15.4 |
無回答 | 9.8 | 7.9 |
次に、資産運用状況です。これについては、60歳代も50歳代と同様に、預貯金と保険に預けていることがわかります。尚、回答世帯数は、50歳代で671世帯、60歳代で695世帯です。
種類 | 50歳代(万円) | 60歳代(万円) |
預貯金 | 445 | 702 |
生命保険 | 324 | 324 |
損害保険 | 39 | 53 |
個人年金保険 | 145 | 127 |
債券 | 9 | 63 |
株式 | 118 | 184 |
投資信託 | 45 | 134 |
財形貯蓄 | 61 | 24 |
その他 | 9 | 25 |
また、資産運用の際の選択機銃についても、50歳代、60歳代ともに、安全性、流動性が高い数字になっています。したがって、60歳代も50歳代と同様に、保守的であることがわかります。
尚、回答世帯数は、50歳代で671世帯、60歳代で695世帯です。
選択基準 | 50歳代(%) | 60歳代(%) |
収益性 | 16.4 | 14 |
安全性 | 41.1 | 40.1 |
流動性 | 21.9 | 24.9 |
商品内容が理解しやすい | 3.6 | 2 |
その他 | 14.0 | 15 |
無回答 | 3.0 | 4 |
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借入金
借入金については、60歳代になると減少しております。60歳代では、借入金なしが、65.5%と半数以上になりました。また、平均値478万円、中央値0円です。
貯蓄は増えて、祝入金は減るといった結果となりました。これも退職金が影響していると思います。尚、回答世帯数は、50歳代で665世帯、60歳代で689世帯です。
借入金(万円) | 50歳代(%) | 60歳代(%) |
借入金なし | 45.7 | 65.6 |
~50 | 0.8 | 1.9 |
50~100 | 2.1 | 2.9 |
100~200 | 3.8 | 4.6 |
200~300 | 3.6 | 2.3 |
300~500 | 4.7 | 3.3 |
500~700 | 3.5 | 2 |
700~1000 | 4.8 | 3.2 |
1000~1500 | 8.4 | 4.1 |
1500~2000 | 7.1 | 2 |
2000~ | 11.3 | 4.5 |
無回答 | 4.4 | 3.5 |
老後への意識
まず、老後に対する意識ですが、60歳代になると不安と思っている方の比率が、78.8%ととなり、86.6%の50歳代より、若干減っています。金融資産が増えたことが影響していると思います。尚、回答世帯数は、50歳代で671世帯、60歳代で695世帯です。
老後 | 50代回答(%) | 60代回答(%) |
それほど心配でない | 12.5 | 20.4 |
多少心配である | 42.8 | 41 |
非常に心配である | 43.8 | 37.8 |
無回答 | 0.9 | 0.7 |
次に、年金に対する考え方ですが、60歳の方で、「不自由なく暮らせる」と「生活程度は賄える」と回答している方が、53.4%を占めています。50歳代の方の場合は、48.1%の方でしたので、若干増えています。
年金に対する考え方 | 50代回答(%) | 60代回答(%) |
年金でさほど不自由なく暮らせる | 1.9 | 3.9 |
ゆとりはないが、日常生活費程度はまかなえる | 46.2 | 49.5 |
日常生活費程度もまかなうのが難しい | 49.8 | 45.6 |
無回答 | 2.1 | 1 |
さて、この53.4%と48.1%の数字は、金融資産がどれだけあるかが大きく影響していると考えました。60歳代では、400万以上の金融資産をお持ちの方が、53.9%ですので、400万円以上の金融資産のある方は、「不自由なく暮らせる」と「生活程度は賄える」と回答なさっていると考えました。
一方、50歳代の場合は、48%の方が500万以上の金融資産をお持ちになっていますので、500万以上の金融資産をお持ちの方が、「不自由なく暮らせる」と「生活程度は賄える」と回答なさっていると考えました。
この100万円の差は、60歳代の方々が実際に年金生活をすると、金融資産が多少少なくても生活できるという実感から生じたと推測しました。
尚、回答世帯数は、50歳代で671世帯、60歳代で695世帯です。
まとめ
・収入は減るが、金融資産は増える。また借入金は減る。これらは、退職金が影響していると考えられる。
・60歳代の収入源は、年金、就労、金融資産の取り崩しからなっている。
・金融資産運用、運用に対する考えは、ほぼ、変化がなく、50歳代も60歳代も保守的である。
・老後および年金に対しては、60歳代になると若干、不安が減る傾向である。
以上を踏まえて、私の推測ではありますが、50歳代では、500万以上の金融資産をお持ちの方は、年金で「不自由なく暮らせる」と「生活程度は賄える」と考え、60歳代になると、400万円以上の金融資産をお持ちの方が、年金で「不十分なく暮らせる」と「生活程度は賄える」を考えている。
すなわち、金融資産400万円を持つことが、老後、生活できる1つの指標になると思われる。
いかがでしょうか?
400万円は、月々3万3千円を10年間貯蓄すれば達成できる金額です。生活を切り詰めれば、何とかなる金額ではないでしょうか?
次回は、70歳代の方々の状況がどのように変化したかを調べてみたいと思います。
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