「企業型確定拠出年金 一括受け取り」の検証!

定年を迎えた方で、企業型確定拠出年金に加入なさっている方は、「一括受け取り」一括受け取りと年金受け取りの併用」「年金受け取り」の3種類のどれかを選択する必要があります。

どれを選択するかを悩まれると思います。

皆さん、どれを選択なさいますか?

現在は、ほとんどの方が、「一括受け取り」を選択なさっているようです。

理由としては、「一括受け取り」は、退職金控除等で税制優遇されている。一方、「年金受け取り」の場合は、雑所得として税金がかかるからのようですね。

そこで、「一括受け取り」の選択が、正しいなのかを今回、ある仮定のもと検証してみました。

まず、仮定は、以下のようにしました。

・企業型確定拠出年金額 2500万円
・勤続年数 37年
・年金と受け取る場合は、60歳から15年間受け取る。
・厚生老齢年金額  月21万円
(老後2000万円問題で金融庁が発表した65歳の平均的な実収入を老齢年金額とする)
・65歳では、老齢年金と企業型確定拠出の金額からの収入のみとする。
・今回は、基礎控除等の所得控除と配当控除等の税額控除を、無視する。
・住民税は、一律10%とする。
65歳時点の年間の収入から所得税と住民税を差し引いた値で比較する。

スポンサーリンク

検証結果

  運用利回り年率1%以下の場合は「一括受け取り」
  運用利回り年率2%の場合は「一括受け取りと年金受け取りの併用」
  運用利回り年率3%以上の場合は「年金受け取り」

更に詳しく分析した結果は以下の通りです。

運用利回り年率1%以下の場合
1.「一括受け取り」
1.「退職金控除額までを一括受け取り、残額を年金受け取り」
3.「年金受け取り」
の順で受け取り金額が高くなる。
運用利回り年率2%の場合
1.「退職金控除額までを一括受け取り、残額を年金受け取り」
2.「一括受け取り」
3.「年金受け取り」
の順で受け取り金額が高くなる。
運用利回り年率3%以上の場合
1.「年金受け取り」
2.「退職金控除額までを一括受け取り、残額を年金受け取り」
3.「一括受け取り」
の順で受け取り金額が高くなる。

スポンサーリンク

具体的な計算内容

一括受け取りの場合

退職金控除額は、以下のように求めます。

勤務年数20年以下 40万円×勤務年数
勤務年数20年超  800万円+(勤務年数-20年)×70万円

すると1990万円となります。

退職所得を求めて、所得税と住民税を算出します。

具体的には、退職所得=(退職金-退職金控除額)×0.5 となり、退職所得は、255万円となり、
所得税 255万円×0.1-97500円=15.75万円
住民税 255万円×0.1=25.5万円

すると、小数2桁を四捨五入して、所得税15.8万円 住民税25.5万円となりますので、受け取る金額2458.7万円となります。

・2458.7万円を15年分割して、1年あたり163.9万円となります。
・一方、65歳時点で、老齢年金 年間 21万円×12=252万円となります。

年金関連は、公的年金控除額を差し引いた金額に税金がかかります。

252万円の場合の年金控除は110万円ですので、142万円に所得税と住民税がかかり、所得税 7.1万円、住民税 14.2万円となります。

65歳で所得税と住民税を差し引いた値は、252万円+163.9万円―21.3万円=394.6万円

年金受け取りの場合

運用利回り年率3%の場合

2500万円を、年金として運用利回り年率3%で15年受け取りとすると、1年あたりの受け取り額210万円となります。

尚、受け取り金額は、資本回収係数 – 高精度計算サイト (casio.jp) を利用して算出できます。

年金総額は252万円+210万円となり、所得税 22.7万円、住民税 32.4万円となります。

所得税と住民税を差し引いた値は、252万円+210万円-22.7万円-32.4万円=406.9万円

運用利回り年率2%の場合

3%と同様に計算すると、394.5万円

運用利回り年率1%の場合

3%と同様に計算すると、382万円

スポンサーリンク

退職金控除額を一括受け取りし、残金を年金で受け取りの場合

退職金控除額は、1990万円ですので、1990万円を一括受け取りとなりますので、15年分割と考えると、132.7万円。

一方、残金 510万円が年金受け取りとなります。

運用利回り年率3%の場合

510万円を、運用利回り年率3%で15年で受け取るとすると、1年あたりの受け取り額42.8万円。

年金総額を算出し、所得税および住民税を求めて、差し引くと399.8万円

運用利回り年率2%の場合

3%の場合と同様に計算すると397.5万円

運用利回り年率1%の場合

3%の場合と同様に計算すると394.6万円

「一括受け取り」と同額になりましたが、年率0.5%とすると、393.2万円となり、「一括受け取り」の方が大きくなりましたので、1%以下では、「一括受け取り」が有利としました。

まとめ

それでは、今回のまとめをしたいと思います。

【仮定】

・企業型確定拠出年金額 2500万円
・勤続年数 37年
・年金と受け取る場合は、60歳から15年間受け取るとする。
・厚生老齢年金額  月21万円
(老後2000万円問題で金融庁が発表した平均的な実収入を老齢年金としました)
・老齢年金と企業型確定拠出からのみ収入とする。
・今回は、基礎控除等の所得控除や税額控除を無視する。
・住民税は、一律10%とする。
65歳時点ので、年間の収入から所得税と住民税を差し引いた値で比較する。

【結果】

運用利回り年率1%以下の場合は「一括受け取り」
運用利回り年率2%の場合は「一括受け取りと年金受け取りの併用」
運用利回り年率3%以上の場合は「年金受け取り」

いかがでしょうか?

あくまでも仮定の話です。皆様の老齢年金の状況、所得控除額等で結果が変わるため、それぞれで計算する必要があります。

私は、今回の結果から、
・「一括受け取り」を選択し、老後資金として積み立てNISAで運用する
・「退職金控除額で一括受け取り、残りを年金受け取り」

のどちらかを選択すると思います。

やはり、「年金受け取り」は、リスクがありますので。。。

さて、次回は、企業型確定拠出年金 1200万円の場合についても検証してみます。

スポンサーリンク

お金
シェアお願いします。
フォローはお気軽に!
管理人

現在60歳。某電気メーカで30数年間、サラリーマン生活を送り、早期退職したおっさんです。すでに、孫もいます。退職後は、自由きままに、生きておりますが、妻が卵巣がんステージⅢCになりました。妻の闘病記や,日々気が付いたことをブログにしたいとおもいます。

フォローはお気軽に!
定年雑学クラブ
タイトルとURLをコピーしました