「退職金バカ」は、2018年9月に当時セゾン投信の中野社長が日本人の退職金運用について著作した本です。
その本の中で、養老孟司さんの「バカの壁」になぞって、60歳で退職金をもらえば人生が一段落すると思い込んでしまって思考停止する「退職金バカの壁」があることを指摘しました。
皆さん、いかがでしょうか?たぶん、多くの方が、退職を人生の1つの区切りにしているのではないでしょうか?そして、今まで手にしたことのない大金を手に入れ、案外、思考が停止してしまう方が多いかもしれませんね。
実は、私も、「退職金バカの壁」を経験した一人です。
スポンサーリンク
退職金運用の実態
銀行の巧みな勧誘
退職金が銀行口座に入金されると、すぐに銀行の女性行員から「山吉さん、ご定年でしょうか?よろしければ、退職金向けの優遇プランがありますので、ご説明します。」と電話がきましたので、了承しました。
後日、銀行で退職金運用プランの説明を受け、3か月間、金利の高い定期預金のプランを勧められて、退職金全額を定期預金に預けました。
次に、女性行員から投資信託等の勧誘が始まりました。3週間に1回のペースで、運用相談をし、定期預金満期の3か月後に、商談が成立する運びとなりました。
私は、「ドル建て一時払い終身保険」を購入しました。
このように、「退職金バカ」の壁状態になっている人間を見つけ出し、退職金運用プランを餌にして、短期間で金融商品を売るという巧妙な手口が見えてこないでしょうか?
退職金で投資商品購入した人は43%で、多くが金融機関からの情報で購入
少し古いですが、2014年の野村総合研究所のアンケート調査では、退職金で投資商品を購入した人は全体の43%で、そのうち、活用した情報源を「金融機関の窓口や営業担当」と答えた人が31%と最も多く、また、「金融機関のウェブサイト」や「金融機関のセミナー」が上位を占める結果となっています。
この結果より、多くの方が、退職金を投資に回し、また、金融機関で、投資商品を購入していることがわかります。
また、退職後、6か月以内に投資商品を購入したと回答した方が、82%もいらしゃいました。
これらから、多くの退職者は、金融機関からの情報をもとに、短期間のうちに退職金運用の意思決定を行っていることがわかります。
退職金の運用結果に4割以上が不満?
週刊ダイヤモンドのアンケート結果では、退職金の運用結果に不満を持つ人が4割以上との報道がなされており、運用結果は微妙な状況です。
実際、運用は、リスクを伴うので、多くの方が、不満を持つのは無理のないことだと思います。しかし、金融機関から購入した場合は、手数料がかかりますので、当然、利幅が少なくなり、金融機関を介さず購入したケースより、不満が多くなると予想します。
手数料以外にも、日経新聞によると、金融機関に勧められるままリスクの大きい金融商品を購入して、数年後に資産の目減りに直面しているといったケースも多いようです。
スポンサーリンク
対応策
上記が退職金運用の実態です。私を含めて多くの方が、「退職金のバカの壁」状態になり、金融機関の勧めをうのみにし、金融商品を退職金で購入しているように思えます。そこで、しっかりと老後まで見据えた退職金運用とするために、どうしたらよいかについてまとめてみました。
老後の資金計画を立てるまでは、退職金に手をつけない
退職金は、老後に向けての大切な資金ですから、老後の資金計画を立てたのちに、必要であれば運用するという姿勢にするべきと思います。
私の場合は、65歳までに必要な資金、65歳以降に必要な資金を分けて計画しています。65歳以降は公的年金があるからです。資金として必要な金額はすべて現金として貯金し。余剰金を株式等の運用にまわしています。
ただし、この資金計画作成に、私は、数か月かかりました。資金計画作成前に、銀行に勧められた投資商品を購入したことについては、今では、非常に反省しております。はやいうちに解約したいと思っております。
運用は金融機関を介さずに行う
運用は、金融機関を介さずにご自身で行うべきだと思います。
現在は、ネットで金融商品を簡単に購入できます。また、情報もネットで簡単に入手できます。金融機関を介さずに投資できる環境は整っていると思います。
また、手数料もかかりませんし、万が一、損をしても、その損を最小限に食い止めることができる思います。
もし、ご自身で、運用知識がないと思われる方は、つみたてNISAといった少額の投資をまず開始してはいかがでしょうか?少額ですので、リスク回避できますので、お勧めです。
年金繰り下げ制度の活用
貴重な資金を運用せずに、65歳からの生活費とする一方、65歳から支給予定の年金を繰り下げることも1つの方法です。
すでに、私のプログ、年金繰下げ受給を奥様にプレゼントしてはいかがでしょうか?で説明しましたが、年金を繰下げすると、月0.7%、年8.4%の増額になります。
これは、かなりいい投資案件だと思います。リスクある投資より、はるかにいいと思います。
今回は、退職金の運用についてまとめてみました。
意外と多くの方が、あまり考えずに、金融機関の情報をもとに、短期間で運用商品を購入していることをご理解していただけたと思います。事実、私も、そうでした。
しかし、大切な老後資金です。じっくりと資金計画を立て、リスクも考慮したうえで、運用なさってはいかがでしょうか?老後は、有り余るほどの時間がありますから、何事も、あまり急がず、じっくりとした姿勢がちょうどいいのかもしれません。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。よろしければ、ポチッお願いします。今後の励みになります。
読者登録もして頂ければと思います。
スポンサーリンク